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フランサフリック情報ネットワーク

フランス=アフリカ関係/フランコフォニーを考えるためのブログ

   
カテゴリー「フランサフリック」の記事一覧

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おとぎ話

おとぎ話
 
 「アフリカの年」50周年はやっとのことで進んでいる。その先駆者であるジャック・トゥーボンは、子どもたちに歴史を語る責任がありながら、フランスの植民地帝国が拡大していた場に独立国家をいとも簡単に作らせた優れた魔法使い、シャルル=ド=ゴールと同様に、自身の物語をなかなか上演しようとしない。
 
 神話は急速に力を失いつつあり、あまりにお粗末であると同時に面白みのないものであるために、消え去りつつある。そして、都合の良い神話である、間違いは不運または「アフリカの人間」のせいだ、という50年間のペテンを経た今、大した成果もないのに、解決が試みられたなどということを、もはや誰も信じない。
 
 しかし、世論は神話を貪る。つまり、そこには絶えず新しい食料、新しい言葉を与える必要がある。過去を忘れ、現在と未来を想像しよう。例えば、持続可能な開発について語ろう。こうした考えの裏にあるものについて誰も良く知らず、従って、私たちはそれを定義しようとはしないだろう。そこでは、好きなように考えるだけでいいのだ。そこにはまた、フランス語圏アフリカの独裁者たちに、彼らの紋章の金箔を貼り直すことを持ちかけるという、持続可能な開発についてのフォーラムがある。それは、様々なお偉方がテーマについてあれこれ言うために招待される、出来合いの討論会である。
 
 資金は全ての独裁者や、新たなタルティーヌおばさんとなったいくつかのスポンサーから提供される。2008年にはドニ・サスヌゲソのコンゴ共和国で、2009年にはブレーズ・コンパオレのブルキナファソでそれが行われた。次は誰の所であろうか? 一般大衆には教育的なテレビが作られる。たくさんのテーマに関して科学の通俗化を行う『とっても簡単』という愉快な番組は、大規模な広告宣伝という企ての中に迷い込んだところだ。この番組の控えめで衒いのないコンセプトは、持続可能な開発を行いながら、アフリカの森をどのように開発し続けるかを説明することを目的とする、ゴールデンタイム向けの巨大なマシーンに変わった。『ジャングルへの道のりで』と同じくらいショッキングなタイトルとして、『タンタンのコンゴ探検』を避けることはできない。こうした点では、十分に成功している。持続可能な開発にとって、それはまさしくマークの問題なのだ。
 
 FSC(森林管理協議会)マークを外すためには、現地の人々が自分たちの森の運命を自らの手で決めるということを、理論的に示さなければならないだろう。そもそも、この高名なマークの交付を妨げないというのは全くの見当違いである。このことは、私たちが現地の人々に今後どのように関心を持っていくかということを示しているに過ぎない。それは、1930年代の記録資料と同レベルの民族学的、地理学的舞台を、当時と同じ幻想とともに私たちにもたらすものである。
 
 森林開発の利益を賞賛するこうした企てのゴッドマザーは、放送に出資するフランス開発庁(AFD)と、地方のコミュニティラジオに出資するジャック・シラク財団である。それは非常に予測可能であるから、私たちが10年後に現場に戻り、もはや森は無く、人間による開発の影がなかったとしても、私たちには既に準備された答えがある。それは、80%の木材を料理用の木炭に加工するアフリカ人たちに原因がある、というものである。この馬鹿げた虚言は、陰でこっそりと広まる神話の一つである。その作為性は、おとぎ話に取り付かれた心の中にそれを植えつける役にしか立たない。
 
 危険な悪夢の中と同じように、良い妖精は、慈善好きの婦人たちの微笑みの下で仕えるカラボスの妖精たちでしかないだろう。彼女たちは、金への変わらぬ崇拝を絶やさぬために自然を砂漠に変え、人間をゾンビに変える。
(オディール・トブネル)
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束の間の希望

Billets d'Afrique et d'ailleurs 166号(2008年2月)

束の間の希望

 10年ほど前から、コンゴ共和国(※1)東部は最も残虐な権力乱用と戦争、大量殺戮の舞台となっている。ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW2)によれば、コンゴ軍と諸民族の部隊や民兵などの全ての兵力が、殺人、性的暴行、強制移住、財産の窃盗、強奪、破壊を行いながら、コンゴ市民の権利を侵害した。
 国際救助委員会(IRC3)の調査では、コンゴ民主共和国(※4)での紛争や人道的な危機は、1998年以来540万人の人々から生活を奪い、毎月45千人の人々を殺害し続けている。コンゴの全人口を6200万人以上と見積もった場合、この超過死亡率の大半は東部地方に関係している。コンゴ東部におけるおおよその人口を比較する必要がある。イツリ州には200万人、北キブ州には350万人、南キブ州には300万人の人々が住んでいる。つまり、これらの地域の住民の大部分が死んだことになる。ここに、170万人と推定されるコンゴ内部地域へ強制移住させられた人々の数を加えると、隣国へ避難した人々の全てを数えるまでもなく、強大な権力の利益を危機に晒すことのなかった主な理由に対する世界の無関心の中で繰り広げられる、今日最も大きな人道的惨事の黙示録的光景を私たちは見ている。殺戮が行われている間も権力の座は変わらない。コンゴに豊富にある貴重で高価な生糸の因襲的な略奪は無くなるどころか、戦争によって全ての交戦国にとっての収入源として増大した。
 2002年の最初の和平合意(※5)の後、2006年と2007年に暴力行為の再発が明らかになった。16日から23日にゴマ市で行われた会議の結果、コンゴ人の反乱グループによって停戦のための誓約が締結された。かすかな希望が見え始めた訳だが、人々の物質的・社会的苦痛が回復するには時間がかかるだろう。対立した多くの犯罪や憎しみはどのように共存するのだろうか? コンゴの司教たちは、犯された犯罪の無処罰を保証する協定に対して警告を発した。激しく争われた恩赦についての条項は、武力を用いた反乱行為に限定された。戦争罪(※6)、人道に対する罪(※7)、そしてジェノサイド(集団殺戮)に対する罪(※8)はそこから除外された。
 別の面では思いがけない喜ばしい出来事が、115日にフランスでまさしく「フランサフリック(※9)の死亡証明書にサインする」意志を表明した、ジャン=マリー・ボッケル(※10)協力・フランコフォニー担当閣外大臣の突然の発言によってやってきた。この重要な声明はそれ自体がひとつの断絶である。というのも、「フランサフリック」という言葉はかつてないほどに、いかなる現職のフランスの政治責任者によっても発せられていない。フランスのアフリカ政策は転換期にいるのだろうか? 私たちはこの斬新さが撤回されないだけでなく、意味のある行為に続くように願っている。ボッケルはアウゲイアスの牛小屋を掃除するヘルクレスのような器を持っているのだろうか? それを期待するばかりだ。
(オディール・トブネル)
 
1:アフリカ中西部の人民共和国。首都はブラザビル。1960年にフランスから独立。
2:ニューヨークに本部を持つ国際人権NGOの一つ。党派性を持たない活動を展開。
3International Rescue Committee
4:アフリカ中央部の民主共和国。首都キンシャサ。1960年にベルギーから独立。
5:プレトリア合意。南アフリカの仲介で成立。翌年7月、暫定政府が発足。
6:ジュネーブ条約に基づく。占領地の一般人や捕虜を殺害、虐待するなど戦争関連法規と慣例に違反した罪。
71993年に国連安保理事会が設置した旧ユーゴスラヴィア国際戦犯法廷において規定された。一般住民に対して行われた、殺人、殲滅、奴隷化、強制移送、拷問、強姦、政治的・宗教的理由による迫害などがそれに該当する。
8:ジェノサイド条約に基づく。国民的、民族的、人種的、宗教的な集団の全部または一部を破壊する意図をもって行われる行為がそれに該当する。
9:フランサフリック(Françafrique)とは、フランス‐アフリカ間の新植民地主義政策の下での犯罪的癒合関係。元シュルヴィ(Survie)代表のフランソワ=グザヴィエ・ヴェルシャヴによって命名。
10Jean-Marie Bockel1950-)。社会党出身。弁護士。

暗雲漂うアフリカ

Billets d'Afrique et d'ailleurs 165号(2008年1月)

暗雲漂うアフリカ

 アフリカにとっての不吉な前触れの下で、2008年が始まりを告げるようだ。そこは、最も多くの紛争と貧困が互いに結びついた大陸である。内戦の時代は、その戦いに関係する外国の介入の時代とともにやってきた。アフリカは、政権が残忍な派閥の抗争によって争われる、統一のないままに新興諸国を蝕んでゆく、これらの紛争にとって寛大な土地である。そうした紛争は私たちが1994年にルワンダで見たような、おぞましいジェノサイド(集団殺戮)のエピソードを引き起こしうるだろう。
 コンゴ民主共和国東部は10年以上前から、一般市民への一連の残虐行為を伴った、あらゆる立場の武装グループ間の永続的な戦いの生け贄となっている。おそらく最悪なことは、MONUC(国連コンゴ民主共和国ミッション※1)とよばれる国連の最も重要な介入ミッションの存在が、武装解除された犠牲者たちを保護する力を持たないということだろう。400万人以上の人々が既に命を落としており、解決への試みは次々に失敗している。実際のところ、多くの人々を殺し、彼らを貧困に追い込む戦争は、かつて一度もこれほどまでに繁栄することのなかった、高価な鉱石開発にとってはむしろ好ましいものである。
 スーダン南部は、1983年から20年以上にわたり、200万人の死者を出しながら激しく鎮圧された反乱を経験した。自治を認める2004年の協定の後も、南北間の戦いは再び繰り返される可能性がある。2003年から紛争はダルフール(※2)で猛威をふるい、20万人の死者をだした。そこでもまた、あらゆる協定の試みが挫折している。MINUAD(国連・アフリカダルフールミッション※3)という、国連・アメリカの混合戦力が200811日から展開しはじめるが、彼らは保護しなければならない莫大な領土をカバーするだけの設備・物資を欠いている。
 ソマリアは大混乱に陥っている。モガディシュ(※4)はもはや廃墟でしかない。住民たちは周辺地域のキャンプに身を置くために街を捨てた。彼らはイスラム法廷政府に対抗する暫定政府再建のためにやってきて、未だ首都を占領しているエチオピア軍による暴行・略奪を逃れたのだ。20071月には、逃亡中のイスラム法廷政府軍を壊滅させるために、アメリカの航空機が二度にわたりソマリア南部を空爆した。アメリカの派遣部隊、AMISOM(アフリカ連合ソマリアミッション※5)が昨年から展開を試みている。
 チャドと中央アフリカでは、反乱が現政権を脅かしている。弾圧的な治安維持は、チャドに重要な兵士派遣部隊を持ち、ビラオ空港を再び制圧するために中央アフリカへパラシュート部隊を送ったフランスの支援により保障されている。両国とスーダンの国境を安定させなければならないEU多国籍軍(EUFOR)は中々配備されない。
 ニジェールのデルタ地帯の石油産出地域において、ナイジェリアは未だにMEND(ニジェールデルタ地帯解放運動※6)という軍事組織のゲリラと対峙している。MENDの野望は、現地の人々には利益をもたらさない石油開発を停止させることである。
 マリ、そしてとりわけニジェールは、トゥアレグ族(※7)の反乱と戦っている。コート・ジボワールは内戦に終止符を打てないでいる。結局ケニアでは、100人近くの死者を出した、異議申し立てのための選挙が大荒れした(※8)余波がニュースになったところだ。現地の暴君たちは至る所で権力にしがみついており、自分たちの国を貧困に追いやっている。
 何にもまして、追従的なアフリカ悲観論者たちに引きずり込まれたままではいけない。私たちはあちらこちらで、アフリカの本当の敵たちに対抗して連帯するアフリカの人々の意思を表明する声を聞き、闘いを注視している。これらの声や闘いが、終に喧騒の真ん中で関心を集めることを願おう。
(オディール・トブネル)
 
1Mission de l'Organisation des Nations unies en République démocratique du Congo
2:スーダン西部の地域。現在、アラブ系民兵ジャンジャウィードと非アラブ系アフリカ黒人反乱に関わるダルフール紛争が継続している。ダルフール紛争での近年の死者は約20万、難民は数百万に上る。
3Mission conjointe des Nations Unies et de l'Union africaine au Darfour
4:ソマリアの首都。
5African Union Mission to Somalia
6Mouvement pour l'émancipation du delta du Niger
7:アルジェリア、リビア、ニジェール、マリなどのサハラ砂漠やその南のサバナに住む、ベルベル語を話す遊牧民。人口約90万人と推定される。
82007年に大統領選挙が行われ、同年1230日、選挙管理委員会はキバキ大統領の再選を発表。これを不服とした野党勢力が行った抗議行動が暴動に発展。多くの死者が出た。

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