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チュニジア:革命の経済的、社会的要因

Billets d'Afrique et d'ailleurs 199号(2011年2月)

チュニジアで先頃起こった政権崩壊は、何よりもまず民主的な革命である。しかしながら、革命の引き金となった社会的な蜂起という側面はまだ明らかにされていない
 
それは、革命プロセスの初めから(一時的な)終わりまでの真実である。変動のきっかけが、ディプロムを持った失業中の若者モハメド・ブアジジによる絶望に満ちた行為だったことを思い出そう。2010年12月17日、彼はシディ・ブジドの県庁前で焼身自殺した。
 
チュニジア中部に位置する人口約4万人のこの町は、海岸沿いの街の開発のために、政権によって計画的に見捨てられた地域のひとつである。失業率は46%で、若者の場合は60%にものぼる。(チュニジア最南端の地域とは異なり)砂漠地帯からは遠く離れており、豊かであるに違いない農地を抱えている。ところが、地域の80%の土地がベン=アリーを取り巻く一味によって独占されていたのだった。
 
何千人ものディプロムを持った失業中の若者
 
しばしば多くのディプロムを持ち、それにもかかわらず将来の確かな展望(「良い家柄」の出であるとか、良い「コネ」を持っているとか)のない失業者の若者たちの絶望は、シディ・ブジドや国内の他の地域を越えてゆく。
 
若きブアジジの犠牲によって巻き起こった火花は、国全体を巻き込むことができた。彼は(公式の商売でない「無許可の」物売りをしながら、苦労して生活費を稼いでいた際の)地元警察による嫌がらせに抵抗したかったのだ。
 
それが可能だったのは、数十万人のチュニジア人たち――青少年たち――が、彼が松脂油をかぶってから2週間後、死んだ不安定な若者の状況に自分たちの姿を見たからである。「ディプロムを持った失業者」という言葉は、マグレブの国々全体で知られている。モロッコでは、およそ10年前から組織的な「ディプロムを持った若者の運動」がある。
 
チュニジアでは、状況はとうとうより爆発的となった。何故なら、どんな合法的な抗議行動も、ベン=アリー体制の崩壊以前には不可能であり、異議申し立てにはいかなるはけ口も与えられていなかったからである。それでも、モロッコ、チュニジア、あるいはまた(少し異なるが)エジプトの3国には共通点がある。
 
チュニジア、モロッコ:無資格労働者たちのための経済
 
教育やディプロムのレヴェルが上がれば上がるほど、失業者のまま人生を終えるおそれがある。公式の統計――とりわけモロッコで顕著である――ですら認めているこうした現状は、奥深い経済構造に起因している。それは、一方で「低資格での」雇用が優勢に立っていることからも明らかである。それは、経営者がもはや低賃金で従順な労働者を(こぞって)見つけなくなったヨーロッパから分散している状況である。
 
チュニジアの場合、経済の大部分が下請けによって支えられており、ヨーロッパの市場による相当の「いたずら」に対する強い依存関係がある。例えば、チュニジアで車の絨毯を作らせている自動車工業の分野がそうである。車そのものは他の場所で作られているのにだ。
 
2008年にヨーロッパを襲った(とりわけ自動車産業における)財政金融危機で、チュニジアの下請けの状況はより一層悪化した。
 
このことは、(「安くつく」観光産業の23万人に次いで)20万人の雇用を抱える、2番目に大きい繊維産業についても同じことがいえる。特に、2005年にマルチファイバー協定(MFA)の期限が切れ、世界的な競争が激化して以来そうである。
 
他方では、経済の「選択肢」、より良い雇用、金利収入の独占があり、マフィア的な一族――ベン=アリーとその妻レイラの一家がそこにいる――によってつくられた状況(自動車輸入の独占)は、あらゆる就職口を閉ざすことに寄与している。
 
社会的要因が反乱のはじまりにあったとすれば、それは、その一時的な結末の際にもあったはずである。政治体制の変化(1999年11月17日から首相を務めたモハメッド・ガンヌーシをはじめ、何人かの人間は残っているが)は、多くの企業において――下層労働者たちによる――指導者たちの締め出しをもたらした。労働者たちは旧体制および蔓延する汚職のネットワークに巻き込まれていたのだった。
 
そのため、汚職で腐りきった――ヨーロッパの他の航空会社に倣って――チュニスエアの社長は、6階の事務所に閉じこもらなければならないと考えたのだった。給与の支払いを求める社員たちがいるために・・・。
 
権力への寄生
 
現在、チュニジアの地方のブルジョアたちの一部は、進行中の社会変動の中で儲けることが可能である。実際のところ、自国民たちに囚われた企業(とりわけ中小企業)は、状況をほぼ全く利用できておらず、支配するマフィアによって金を搾り取られていた。彼らは何ももたらすことなく、株の利益を取り立てるために経営参加を強く要求した。
 
反対に、国際的な大資本――とりわけフランスとヨーロッパの――は、権力を持ったマフィアとうまくやっていくことに成功した。つまり、彼ら大資本は最も地位の高い人物たちと直接商売していたのだった。
 
フランステレコム・オランジュグループの例を挙げよう。オランジュ社のチュニジア支店は49%がフランスの企業の所有であるが、51%はベン=アリーの娘の婿であるマルワン・マブルークの持ち物である。現在、彼は国外逃亡中で、フランスの多国籍企業がこの取るに足りない問題に直面している・・・。
 
とりわけヨーロッパの国際資本は、チュニジアに移転された彼らのコールセンター――フランスの電話オペレーターのコールの8%から12%がこの国経由である――が、ストライキや進行中の大変動により現在十分に機能していないために苦しんでいる。
 
(ベルナール・シュミッド)
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