Billets d'Afrique et d'ailleurs 198号(2011年1月)
2010年12月11日、アレヴァ社(※1)がニジェールで採掘中の2つのウラン鉱山のひとつ、ソマイル社(※2)の鉱山からの放射性液状廃棄物をせき止めるための(セメントで固められていない)堤防で、数メートルの亀裂が見つかった。ソマイル社によると、流出する「汁」は20万リットルに及ぶとみられる。反核ネットワーク「原子力撤廃」は、汚染地域の面積は2~3ヘクタールで、そこは、アーリット(※3)から3.5kmしか離れていないと予想している。
アーリットの市民グループは次のように述べている。「環境状態の監視がなされていない。流出を防ぐためのポンプが撤去されている。環境保護に対する企業責任への取り組みがなされていない。管理事務所が現場から撤去されている。堤防および貯蔵池の状態が悪い。環境調査計画に問題があり、正しく行われていない。こうした問題を防ぐための、ソマイル社およびBEEI(環境アセスメント事務局)による規制がない」。空気や地下水への放射能汚染の危険がある中、この市民グループは、「ソマイル社の経営陣がこの問題を各市民団体に伝えようとしない」ことを非難している。このことは、当然のことながら「
アレヴァグループの価値憲章に反している」。12月17日、アレヴァ会長のアンヌ・ローヴェルジョン宛の手紙の中で、
CRIIRAD(独立放射能調査情報委員会)(※4)は、政府から独立して放射能監視を行っている地元のNGOアギリンマン(Aghir in Man)とのパートナー協定の枠内で、次のことを要求している。それは、アレヴァグループが、必要とされる全ての技術的な情報、とりわけ、「汚染された地面の回復対策」を伝えることである。大統領選――国の主要な天然資源管理の未来がかかっている――を数週間後に控えているため、この明晰な要求は場違いなものとなる危険性がある。12月16日、アレヴァ社は手始めに、アギリンマンの標本調査参加を拒否した……。
訳注
※1アレヴァ社:フランスに本社を置く、世界最大の原子力産業複合企業。日本の原発産業とも協力関係にある。
※2ソマイル社:鉱山管理会社。
※3アーリット:ニジェール北部。ウラン採掘の中心都市。
※4 CRIIRAD:フランスの反原発団体。1986年、チェルノブイリ原子力発電所の事故から放出された放射性物質による汚染が、フランスまで達しているという事実をフランス政府が隠蔽していたことが発覚。それを受け、政府から独立した原子力調査機関として同年に設立された研究機関。
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